CORAL LOVE 第1回 <サンゴの生態とサンゴの体のしくみ>

CORAL LOVE
CORAL LOVEサンゴ

皆さんこんにちは、Tです。突然ですがサンゴは好きですか?当コラムは、これからサンゴを飼育したいと思っている方に向けてサンゴの基礎知識を発信するものです。記念すべき第1回目は「サンゴの生態と体のしくみについて」。僕と一緒にもっとサンゴのことを学びませんか?

サンゴってどんな生物?

一見すると全く動かず、さまざまな外見を持つサンゴの仲間。サンゴは大きく「宝石サンゴ」と「造礁サンゴ」に分かれています。植物のように枝分かれしている種類もいるためにサンゴを植物や鉱物のように考える人もいるかもしれません。しかし、サンゴはイソギンチャクやクラゲと同じ刺胞(しほう)動物と呼ばれる生き物です。動物なのでもちろん採食や産卵も行います。フィリピンやパプアニューギニアなどの熱帯や亜熱帯の暖かい海に多く生息しています。オーストラリアの「グレートバリアリーフ」は巨大なサンゴ礁保護区として有名ですね。国内では沖縄県や小笠原島でも見ることができます。

六放サンゴと八放サンゴ

サンゴの仲間の分類を少し詳しく見ていきましょう。サンゴは次の分類に含まれています。

刺胞動物門(しほうどうぶつもん)>花虫綱(かちゅうこう)ここまでが大枠です。
花虫網でさらに2グループに分かれます。それが

六法サンゴ亜綱(あこう)と八法サンゴ亜綱(あこう)です。

触手が6の倍数のもが六放サンゴ亜綱に分類されそれらを六放サンゴ、触手が8の倍数のものを八法サンゴ亜綱に分類され八放サンゴと呼びます。それでは代表種を見てみましょう。

※六放サンゴ亜綱・八法サンゴ亜綱に分類されないサンゴもいます。

代表的な六放サンゴ

コモンサンゴ
マメスナギンチャク
ハナギンチャク

代表的な八放サンゴ

スジチヂミトサカ
ウミキノコ
スターポリプ

サンゴの体のしくみについて知ろう

サンゴの体のしくみを理解する上でまず知っておきたいのが、「ポリプ」です。このポリプが集まって形成されたものがサンゴで、成長するとともにポリプの数が増えてサンゴ自体が大きくなっていいきます。ポリプの拡大図を用意しました。触手でプランクトンを集めて口へ運び、胃腔で吸収します。こうしてみると、しっかりと動物としての機構が備わっているのがよく分かりますね。

サンゴは動物と植物の特性を併せ持つ

サンゴは動物だと述べたばかりですが、サンゴには不思議な特徴があります。なんと、動物でありながら光合成を行うのです。ふつう光合成というと植物だけが行えます。植物がもつ葉緑体が日光を浴びることで栄養素を生成できるしくみです。とはいえサンゴに葉緑体はありません。一体どのようにして光合成を行うのでしょうか?

サンゴと褐虫藻

葉緑体を持たないサンゴの代わりに光合成を行っているのが、褐虫藻(かっちゅうそう)という植物プランクトンです。この褐虫藻はサンゴだけでなく、熱帯に生息するクラゲやシャコ貝などの無脊椎動物と共生しています。宿主が褐虫藻のすみかを提供する代わりに宿主が代謝した二酸化炭素、アンモニアなどを利用して光合成を行うのが特徴です。褐虫藻は光合成で生産した糖類や合成したアミノ酸を宿主に渡します。この生産物の中には多糖類が含まれており、サンゴが自身を外部刺激から守るを粘液(ミューカス)の材料になっています。このような褐虫藻との共生関係を築いているサンゴを造礁サンゴといいます。

サンゴはどのように生活している?

野生下の造礁サンゴが生息できる場所は限られており、次の項目が多くのサンゴの生息条件です。海流や波を利用して日々活動しています。

・十分な日射量がある水域
・年間を通して安定した水温(20~26℃くらい)
・アルカリ性の水質
・比重 1.020以上
・程よい水流

十分な日射量がある水域

褐虫藻を共生させる造礁サンゴは、褐虫藻が光合成できないと生きていけません。そのため、十分に日光が届く浅海が適しています。

年間を通して安定した水温(20~30℃くらい)

サンゴは環境の変化に敏感です。30℃以上の高水温になるとサンゴ内の褐虫藻の数が減少し、色が抜け白化します。白化したサンゴは十分に栄養補給ができなくなるので徐々に弱っていき、この状態が長期間続くと死に至ります。

アルカリ性の水質

野生下の海で水温上昇と共に問題になっているのが、海の酸性化です。海水が酸性に傾くと、サンゴを形成しているカルシウム分を溶かしてしまい、骨格部分が崩れてしまいます。また、サンゴが変色することもあります。

比重1.020以上

水槽内の比重は1.020以上、できれば1.023より高い数値がよいでしょう。低塩分濃度に弱く1.020を切って1.018くらいになると衰弱して溶けます。

程よい水流

サンゴを形成するポリプは水流に乗ってきたプランクトンを捕食したり、水流の刺激によって代謝を行っています。水流が全くない状態や水流が強すぎると生活することができません。

海でのサンゴ礁の役割とヒトとの関係

世界の海に生息する約50万種の動物のうち4分の1はサンゴ礁域に暮らしているといわれています。海水魚の中には産卵や稚魚の育つ場所にサンゴ礁を利用する種類も存在します。サンゴ礁が「海の熱帯林」や「海のオアシス」などと呼ばれるのも、さまざまな生き物に住み家や産卵場所を提供することで海洋生態系の中で重要な役割を担っているからなんですね。

サンゴは褐虫藻と共生関係にあり褐虫藻の生産物を栄養としていますが、生産された有機物の一部は粘液として体外に分泌され、プランクトンなどの微生物の栄養分になります。海の豊かな生態系はサンゴが基盤となって築き上げていると言えるでしょう。

また、サンゴとサンゴ礁の重要な役割は海水のCO2濃度調節です。サンゴおよびサンゴ礁がなければ、CO2濃度のバランスが崩れて海洋生物すべてに大きな影響があるといわれています。また、「バリアリーフ」とも呼ばれているように、強い海流や高波を和らげる防波堤としての役割もあります。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

第1回のCORAL LOVE、いかがでしたか?
飼育する動物のことについて知識を付けるのは飼育者の第一歩 です。
未来のサンゴ飼育者の助けになれば幸いです。

第2回はこちら

投稿者
T

1997年10月8日生まれ。愛知県出身。アクアリウムは初心者で、ビギナーの心に寄り添った記事を目指しています。自宅でフトアゴヒゲトカゲを飼育(8歳)趣味のオートバイはかれこれ6年目に突入。

ティーよりコーヒーが好き。

Tをフォローする
Tをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました