みなさんこんにちは、Tです。レイアウト素材としてはもちろん、バクテリアの定着場所やサンゴの土台になる「ライブロック」。海水水槽をメンテナンスする際、ライブロックのメンテナンスも行っていますか?今回は、ライブロックのメンテナンス方法の1つ「キュアリング」について深掘りしていきます。
そもそもライブロックってなに?
まずは今回の主役、ライブロックについて軽く説明しましょう。
ライブロックとは、ハードコーラル(造礁性サンゴ)や石灰藻などのカルシウムを体内で形成する生き物が死んだ後に残す骨格がもとになった岩石です。自然界ではライブロックをさまざまな生物がすみかや隠れ家として活用しています。
炭酸カルシウムを主成分として非常に形が複雑で多孔質なことが特徴です。マリンアクアリウムではこの特徴から、良質なバクテリアの定着場所やサンゴの土台として利用されています。
趣味であるマリンアクアリウムでは、手軽な「レプリカ」を使うことも少なくありません。本物のライブロックに比べ、安価な上に自然物ではないので付着物がないことが魅力です。
本物のライブロックを使用する時は下ごしらえをしよう
では、ここから本題のキュアリングについてです。キュアリングを簡単にいうと、水槽に導入する前の掃除といったところでしょうか。
リアルライブロックは自然物のため微生物やさまざまな海の生物が付着しています。ライブロックが輸送されている間、耐えられなかった無脊椎動物や海藻などは死んでしまいますが、そのまま水槽に導入すると腐敗した死骸からアンモニアや硫化水素など生物に有害な物質が大量に発生し、水質を悪化させてしまう原因に……。
そこで大切になるのがライブロックのキュアリングです。キュアリングをしないと海水がひどく汚れ、最悪の場合水槽内の環境が崩壊します。水槽を置いている部屋全体にひどい腐敗臭が漂うほどの惨事を招くこともあるほどです。
キュアリングの効果
キュアリングを行うメリットとして次のことが挙げられます。
・水槽の海水が汚れない
・余分な有機物を落とすことでライブロックの浄化能力を最大限に引き出せる
・キュアリング中に生物が発見できることがある
水槽の海水が汚れない
先述したとおり、キュアリングをしないままライブロックを水槽に導入してしまうのは悪いことづくめ。魚・アクアリストにとって過ごしやすい環境を作れることこそ最大のメリットといえます。
ライブロックの水質浄化能力を最大限に発揮できるようになる
キュアリングを行うとライブロックの表面や内部の腐敗物が除去されます。そして、水槽内の環境に適した微生物のみが残ることになります。水を汚す原因を除去し、ろ過能力(表面の好気性ろ過 + 内部の嫌気性ろ過)がしっかり機能できる環境を作ることでライブロックが持つ本来の水質浄化能力が発揮されるのです。
キュアリング中に生物が出てくることがある
キュアリングしている最中にシャコやウミケムシなどが外に出てくることがあるので、事前に捕獲・駆除することができます。
ウミケムシのトゲにはがあります。刺されてしまうと患部が痛がゆく腫れ、症状は一週間ほど続きます。 また、夜行性で夜に魚を襲うこともあるため、水槽には入れたくない存在です。
シャコは大型の個体だったとしても魚を積極的に襲うことありません。しかし、臆病な性格なので魚との出合い頭に「シャコパンチ」を繰り出し、他の魚にダメージを与えてしまうことがあります。
大型のシャコが繰り出すシャコパンチは非常に危険です。
10cm以上の個体の場合、当たり所が悪いとケガをしたり水槽にヒビ入る恐れがあります。取り扱いには十分注意しましょう。
人も魚も快適に過ごせるようにするために「キュアリング」は必ず行うようにしましょう。
キュアリングの方法
それでは、実際にキュアリングの工程についてご説明します。
必要な物は以下の4つ
対象となるライブロック
バケツまたは別途水槽
エアレーション
ヒーター(室温が15℃以下であれば)
それでは、どのようにキュアリングをしていくのかを見ていきましょう。
①専用の水槽やバケツに比重を調整した海水を入れ、キュアリングするライブロックを入れます。
ライブロックを少し底上げしておくとカニなどが落ちてきて目視しやすくなります。
②基本は強めのエアレーションで管理します。冬場は室温が15℃あればヒーターを入れて保温する必要はありません。
キュアリング期間は2日~1週間ほどを目安に行いましょう。腐敗がひどい場合は3日に1回を目安に水換えを行います。
※ライブロック表面に白い膜(有機物を分解するバクテリアのコロニー)が張るようなら内部まで腐敗しているので1週間~2週間ほど様子を見ます。
ライブロックから腐敗臭がしなければキュアリング完了です。ただし、腐敗臭がしない=無臭という訳ではありません。
ライブロックから海本来の磯の香りがするようになるのがキュアリング完了の証です。
キュアリングを行う目安ってなに?
ライブロックのキュアリングの方法はわかったけれど、どんな時にキュアリングしたら効果的なのか気になりますよね。キュアリングを行うと効果的な場面は以下の通りです。
・ライブロックを1日以上かけて輸送(移動)させた
・輸入直後のライブロックをお店で購入した
・ライブロックの表面に白い膜が発生した
・ヒーターやポンプの故障などで水槽の環境が崩壊してしまった
ライブロックを1日以上かけて輸送(移動)させた
「通販で購入した」など何らかの原因でライブロックを1日以上かけて水から揚げた状態で移動させた時はキュアリングをしたほうがよいでしょう。輸送中に微生物などが死んでしまっている可能性があります。
チャームで販売しているライブロックはキュアリング済です。ただし、輸送ダメージがある恐れがあるので、ご使用前に再度キュアリングを行うことをオススメします。
輸入直後のライブロックをお店で購入した
天然のライブロックは海外から輸入されてきます。時間をかけて空輸されてきたものはそのまま水槽に入れるには飼育環境を崩壊させてしまうリスクが格段に上がります。海水専門店であればキュアリングを行ってから販売していますが、お店が遠かったりどうしても気に入った形のライブロックを海外から直接購入する場合はご自身でしっかりとキュアリングを行ってください。キュアリング期間がどのくらい必要か、どのようにキュアリングしたらよいかなどは店員さんに相談してみるとよいでしょう。
ライブロックの表面に白い膜が発生した
ライブロックの表面に白い膜がある!これもキュアリングを行う目安の1つになります。この現象を確認できるときはライブロックの内部に生物の死骸がある可能性が高いです。そのまま放置しておくと、水質悪化を招くので早めにキュアリングを施しましょう。
ヒーターやポンプの故障などで水槽の環境が崩壊してしまった
飼育水の管理をしている周辺機器にトラブルがあると、水槽内の環境が一気に悪化してしまいます。飼育環境が崩壊してしまった場合も一度、ライブロックのキュアリングを行ったほうが無難でしょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
ライブロックのキュアリングの大切さ、お分かりいただけましたでしょうか?ライブロックは生き物適切な対処を行うことでマリンアクアリウムに大きな恩恵を与えてくれます。正しいメンテナンスで快適なマリンアクアライフを。
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