どうも、ほにゃらら sp.です。
今回のテーマは海水魚の飼育難易度について。
一口に海水魚といっても、簡単に飼育可能なものから一工夫必要なものまで実にさまざまです。
今回は人気のグループについて、それぞれの魚種の飼育難易度をわかりやすくご紹介します。
海水魚の飼育難易度早見表
各グループの主な難易度傾向は次の通りです。
赤枠のものは、初めて海水魚を飼育したい方に特におすすめできるグループです。
初心者おすすめ度 | 魚種 |
---|---|
★★★★★ とても飼育しやすい | スズメダイ、ハゼ、カエルウオ・ブレニー(ギンポ)、テンジクダイ |
★★★★☆ 飼育しやすい | クマノミ、ハナダイ、ベラ |
★★★☆☆ 標準的 | チョウチョウウオ、ハギ、ゴンべ、ジョーフィッシュ |
★★☆☆☆ 経験者向け | フグ、カワハギ、カサゴ、タツ、ウツボ、マンダリン |
★☆☆☆☆ 熟練者向け | ヤッコ、エイ、サメ |
※他魚種と混泳させると、難易度が上がる場合があります。
※グループ全体のおおよその難易度です。個別の種によっては、例外的な性質を持つものもいます。
おすすめ度 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ |
---|---|---|---|---|---|
水換え頻度 | 1~4週間に1回 | 1~2週間に1回 | 1週間に1回 | 1週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
餌付け | 人工飼料を与えるとほぼ食べる | 人工飼料を与えると比較的すぐ食べる 餌付けが必要なこともある | 最初は人工飼料をあまり食べない 生餌での餌付けが必要なことが多い | 最初は人工飼料をあまり食べない 生餌での餌付けが必要なことが多い | 最初は人工飼料をあまり食べない 生餌での餌付けが必要なことが多い |
特殊な要求 | 少なめ | 少なめ | 少なめ | 多め | かなり多い |
はじめて海水魚を飼育される方は、★★★★☆以上のグループのものがおすすめです!
おすすめ★★★★★
とても飼育しやすい海水魚です。
海水魚飼育のセオリーから多少外れてしまっても、持ちこたえてくれることの多い魚たちです。
たとえ飼育に不慣れで多少のミスをしても、丈夫なので事なきを得ることが多いでしょう。
初めての海水魚飼育でも失敗しづらいため、初めての海水魚として特におすすめできるグループです。
スズメダイの仲間
スズメダイの仲間は、海水魚の中でもトップクラスに飼育しやすいグループです。
水質の変化や悪化にも強く、餌付きやすく丈夫です。
比較的入荷も安定的で、古くから初心者向けの海水魚として知られています。
スズメダイの仲間は青や黄色を基調とした色鮮やかな色彩を持つものが多いです。
本来は群れで暮らすのですが、このグループは性格がきついので、複数匹泳がせたり、他魚種と混泳させる場合は注意が必要です。
「デバスズメダイ」は例外的に性格が温和で、混泳させてもトラブルが少ないです。
はじめてのスズメダイには最もおすすめできる種です。
▼こちらも参考
ハゼの仲間
ハゼの仲間も、海水魚の中でもトップクラスに飼育しやすいグループです。
ハゼの仲間は海水魚では種数が最多で、世界中には約2200種が知られています。
多くの種は底床を這って生活しますが、海水性のハゼは一般的な魚と同じように遊泳性を持つものも少なくありません。
マリンアクアリウムにおいてハゼの仲間は大きく分けて、「遊泳ハゼ」「共生ハゼ」「ベントスハゼ」「その他」の4グループに分けられます。
「遊泳ハゼ」は中層を浮遊するように泳ぐので、観賞魚としての役割を存分に果たします。
「共生ハゼ」はテッポウエビ類との共同生活が魅力的です。
単独でも飼育しても楽しめますが、生態観察のためにはぜひテッポウエビ類と一緒に飼育してみましょう。
(ダテハゼ&ニシキテッポウエビ)
「ベントスハゼ」は掃除要員としての要素が強いです。
海水水槽の残飯掃除役として古くから人気があります。
ハゼの仲間は種数の割に、安定的に入荷のある種は多くはありません。
しかし、種数自体は多いので、見たことのない種と出会いやすいグループともいえます。
入荷の少ない種との、一期一会も楽しいものです。
▼こちらも参考
カエルウオ/ブレニー(ギンポ)の仲間
ギンポの仲間はコケ掃除が得意です。
ギンポの仲間を英語でブレニーというので、〇〇ブレニーと呼ばれる種も多いです。
ライブロックや水槽壁面に生えるコケをせっせと食べてくれるので、コケ掃除要員として人気の高いグループです。
丈夫で飼育しやすいので、マリンアクアリウムにおいてのコケ対策はこのグループが筆頭といえるでしょう。
しかし、良く見ると愛嬌のある顔つきをしており、ユニークな行動を見せてくれることも多いです。
ライブロックや底床に擬態したモノトーンの色彩を持つ種が多いですが、色鮮やかな色彩を持つ種もいます。
コケ対策要員としてだけでなく、観賞魚としても十二分な魅力を持ったグループです。
テンジクダイの仲間
おすすめ★★★★☆
比較的飼育しやすい海水魚です。
一般的な海水魚飼育用品はクマノミ類の飼育を想定して設計されているため、セオリー通り飼育していれば比較的失敗しづらいグループです。
海水魚飼育の基本を学ぶ上では、まさにうってつけのグループといえるでしょう。
クマノミの仲間
マリンアクアリウムの代表ともいえるクマノミの仲間は、比較的飼育しやすい海水魚です。
映画のキャラクターのモデルになったことからか、海水魚の飼育が普及するきっかけになったグループでもあります。
初心者向けとされることも多い種ですが、先に紹介したグループに比べると若干水質には敏感なので、水換えの頻度には多少気を使ったほうが良いでしょう。
とはいえ、海水魚用の飼育用品やセオリーは「クマノミ類の飼育ができること」をスタンダードとして設計されていることが多いです。
このため「海水魚飼育セット」を一通りそろえれば、大抵はクマノミ類を飼育可能なアイテムがそろいます。
ハナダイ/ハナゴイの仲間
赤やピンクの発色が美しいハナダイやハナゴイの仲間も、比較的飼育しやすい海水魚です。
このグループは遊泳力が強く、群れをつくって水槽内を泳ぎ回ります。
1匹あたりのサイズも10cm前後と大きくなるので、90cm水槽以上の大型水槽での飼育が向いています。
狭い水槽で飼育するとトラブルが起きることもありますが、大きい水槽で飼育していればトラブルはあまり起こらないグループです。
性格は臆病なことが多いので、ちょっとした衝撃や振動に驚きやすいです。
勢い余って水槽から飛び出してしまうこともよくあるので、なるべく静かな場所に水槽を置き、飛び出しを防ぐため必ずフタを設置しましょう。
このグループはオスとメスとで見た目が大きく異なるものがいます。
オス同士は縄張り争いを繰り広げることがあるので、オス1匹に複数のメスで群れを作らせると良いでしょう。
自然下でも、体の一番大きなメスがオスに性転換してオス1匹、メス複数匹の群れを形成しています。
群れで飼育したほうが、餌付けもしやすくなります。
ベラの仲間
おすすめ ★★★☆☆
ここからは少し難易度が上がります。
端的に言えば「中級者向け」といえるグループです。
できればクマノミやスズメダイ、ハゼなどの飼育経験を経て、基本的な海水魚飼育の要領をつかんでからチャレンジした方が失敗しづらいでしょう。
全く未経験からのスタートでも飼育は可能ですが、先に紹介した魚種に比べ押さえるべきポイントが多く、経験が不足していると失敗しやすいです。
以下の魚種は海水魚の飼育に必要な基本的な知識に加え、「水質の維持」や「餌付け」が重要です。
海水魚全体としてみれば「餌付け」はどうしても必要になるものが多いので、その意味では標準的な飼育難易度といえます。
クマノミを飼育できる技術を身につけた方なら、ステップアップしてチャレンジしてみるのも良いでしょう!
チョウチョウウオの仲間
チョウチョウウオの仲間は海水魚飼育において最も標準的な存在です。
単に飼育するだけならクマノミ類がスタンダードですが、ほとんどの海水魚は「餌付け」を必要とします。
チョウチョウウオの仲間は水質にはさほど敏感ではありませんが、基本的に「餌付け」が必要になります。
この意味では、海水魚として標準的な存在といえます。
このグループは入手しやすい種数が多く、コレクション性が高いのも魅力です。
また、このグループは日本でも採集が可能です。
沖縄、高知、和歌山、静岡、千葉といった黒潮の影響を受ける地域では、海辺のタイドプールなどで採集できることもあります。
ハギの仲間
ハギの仲間も海水魚の飼育においては標準的な存在といえます。
このグループの代表ともいえるナンヨウハギは映画のキャラクターのモデルとなったことからこちらも人気は高いのですが、クマノミに比べるとやや水質に敏感です。
最低でも週に1回の換水頻度を守り、清浄な水質を維持することが上手に飼育する秘訣です。
適切な換水頻度や給餌を守らなかったり、水温や水質の変化が大きくなるような管理をしてしまうと、白点病にかかりやすいので注意が必要です。
販売サイズは小さめであることが多いですが、最終的には手のひらを広げたサイズよりも大きくなります。
全体的に、販売サイズに対し最終的なサイズは大型になるものが多いです。
ハギ類の飼育は60×45×45cm水槽以上のサイズがおすすめです。
ゴンべの仲間
ゴンべの仲間はサンゴ水槽向けの海水魚として有名です。
ゴンべの性質がサンゴに悪さをしないのでリーフタンクとマッチする部分もありますが、ゴンべ自体もサンゴを飼育できるレベルの清浄な水質を要求する傾向があるというのも大きいです。
適切な頻度での換水と強めの水流が上手に飼育するポイントです。
また、物陰に隠れる習性があるのでライブロックなどを複雑に組んでおくと良いでしょう。
エサについては、甲殻類を好む傾向があります。
気が強い種類が多く、同種間では激しく争う傾向があります。
他種に対しても自分より小型の魚に攻撃したり、口に入るサイズの魚を食べてしまうことがあるため、混泳には注意しましょう。
ジョーフィッシュの仲間
おすすめ ★★☆☆☆
飼育の際に気を付けるポイントが多い魚種たちです。
習性上、飼育環境に一般的な海水魚飼育+αの特殊な要求をしてくるため、上手に飼育するにはそれなりの経験値が要求されます。
混泳の条件もやや厳しめで、他種との混泳には気を使うグループであることも留意しておきましょう。
フグの仲間
愛嬌のある顔つきと行動で人気のフグの仲間。
ついつい飼ってみたくなりますが、海水魚の中でも飼育難易度は高い部類に入ります。
このため、上手に飼育するには事前に知識を身につけておきたいところです。
フグ類は鋭い歯を持っており、この歯で他の魚のヒレなどをかじってしまうトラブルメーカーとして知られています。
エサに関しても人工飼料には餌付きにくく、最初はクリルなどから根気よく餌付ける必要があります。
甲殻類や貝類を好む傾向があるので、それらを素材とした餌を与えると良いでしょう。
サンゴのポリプをかじってしまうため、サンゴとは一緒に飼育できない種も多いです。
また、水質の維持も重要です。
適切な頻度での換水も行いましょう。
水質が悪化してくると、白点病にかかりやすい傾向があります。
餌付けの問題がクリアでき、単独飼育する分にはさほど難しい魚種ではないでしょう。
カワハギの仲間
扁平な体型と愛嬌のある顔つきが人気のカワハギの仲間。
フグ類を少しマイルドにした感じですが、難易度は高い部類に入ります。
硬い歯を持つこと、餌付きにくいことに関してはフグ同様です。
他魚への攻撃性に関しては、「モンガラ系」の種は非常に攻撃的なので注意が必要です。
モンガラ系は魚に対してだけでなく、人にも噛みついてきますので、メンテナンスなどの際は注意が必要です。
それ以外の種の攻撃性は、フグ類ほど強くはありません。
なお、フグ類以上にポリプ食性が強い傾向があります。
サンゴのポリプをかじってしまうため、サンゴとは一緒に飼育できない種も多いです。
カサゴの仲間
大きな口で小魚を捕食する、擬態の達人なカサゴの仲間。
ユーモラスな見た目で人気のカエルアンコウの仲間も、このグループに含まれます。
このグループの魚種は、原則的に活きたエビや小魚を好みます。
人工飼料には慣れにくいグループなので、根気よく餌付けるか、活き餌のみで飼育する前提でプランを立てる必要があります。
人工飼料はただ与えるだけでは口にせず、口の前までピンセットで運んであげると食べることがあります。
ミノカサゴの仲間はヒレに毒を持つ種も多いので、メンテナンス時などには注意が必要です。
ウツボの仲間
にょろにょろとした体形と、よく見るとひょうきんな顔つきで人気のウツボの仲間。
比較的人によく慣れ、海水魚の中でも特にペットフィッシュ的な付き合いが楽しめるグループです。
野生下では岩の隙間に棲んでいるため、ライブロックを複雑に組み上げたり、シェルターや塩ビパイプなどを入れたりすると落ち着きます。
トラウツボのような大型種でも単独飼育であれば90×45×45cm水槽で終生飼育は可能です。
多数匹を混泳させることも可能ですが、給餌の際に興奮しすぎて共食いする(細い種類が飲み込まれる)可能性もあるので注意しましょう。
タツノオトシゴの仲間
独特な体型で水族館でも人気のタツノオトシゴの仲間。
実は家庭でも飼育ができます。
入荷頻度は安定的ではありません。
枝状のライブロックを入れておくと、尻尾で流されないようにつかまり本来の習性を観察できます。
泳ぎが得意でないので、基本的に他の魚との混泳は相性が良くありません。
タツノオトシゴ単独でその独特な行動を楽しむ、または干渉しない底生魚のみとの混泳が良いでしょう。
マンダリン/スクーターの仲間
マンダリンをはじめとし、スクーターのように底床の上をスムーズに泳いでいくことから“スクーターブレニー”とも呼ばれるグループです。
釣り魚でいうところの、ネズッポ(ネズミゴチ)に近縁なグループとして知られています。
サンゴを中心とした水槽で問題視される「ヒラムシ」を食べるため、この対策として導入されることもあります。
一般的な魚向けの餌やりではきちんとエサを取れずに痩せてしまうことが多く、微生物の発生しやすいリーフタンク(サンゴメインの水槽)や、リフジウムタンク(海藻メインの水槽)での飼育が適しています。
ヒラムシや自然に発生する微生物だけでは痩せてしまうので、餌付けは必要です。
このグループは低層にいることが多く、遊泳性の魚には干渉することがほとんどありません。
ハゼ等の底層に暮らす気が強い魚がいる場合はいじめられてしまうことがあるので、注意が必要です。
おすすめ ★☆☆☆☆
いわゆる「上級者向け」と呼ばれる魚種が含まれるグループです。
海水魚飼育の基本を熟知した方向けで、マリンアクアリウムの中でも花形とされるヤッコ類や、水族館でも人気のエイ、サメの仲間が含まれます。
これらのグループは、海水魚飼育において相応の難易度が要求されます。
はじめていきなり、これらのグループの魚種の飼育にチャレンジするのは少し難しいかもしれません。
しかし見ごたえも人気も抜群なので、いつかは目標にしたいところですね!
ヤッコの仲間
マリンアクアリウムの花形ともいえる人気のグループです。
人気ですが、ヤッコ類は海水魚の中でも特に水質管理が重要です。
適切な飼育環境を維持できている分には飼育は難しくありませんが、これを怠ると白点病やリムフォスティス病といった厄介な病気を発症することが多く、初心者が躓きやすいポイントとなっています。
気軽に手を出して失敗するケースが多いので、まずはチョウチョウウオやハギ類を難なく飼育できるようになってからチャレンジするのがおすすめです。
マリンアクアリウムの花形といえるグループですが、サンゴのポリプを食べてしまう種も多いです。
サンゴを中心とした水槽での飼育には注意が必要です。
魚中心の水槽での飼育がおすすめですが、同種・近縁種及び体形・色が似た魚とは争うことがあります。
ヤッコ類同士はケンカをしがちである点にも、注意が必要です。
派手な色彩で存在感は強く、憧れの海水魚という位置づけにあるグループです。
腕を磨いてから、ぜひ飼育にチャレンジしてみましょう!
サメ/エイの仲間
マリンアクアリウムとしては異質なグループです。
水族館でも人気のエイ・サメ類は、販売されている海水魚の中では最も飼育難易度が高いグループと考えて良いでしょう。
基本的に大型水槽での飼育となり、最低でも90cm水槽は見積もっておきましょう。
よく食べ、よく排泄するので水質の管理にも気を使う必要があります。
水槽のろ過能力はとにかく強化しておくのが望ましく、オーバーフロー水槽での飼育が理想的です。
このグループは基本的に人工飼料には餌付きにくいです。
慣れる個体は乾燥餌や冷凍餌を食べてくれることもありますが、基本的には活き餌を与えます。
肉食性が強いので、基本的に小型魚との混泳はできません。
サメ類は歯、エイ類は尾にある棘に注意が必要です。
メンテナンスの際は嚙まれたり刺されたりしないよう、細心の注意を払って行いましょう。
特にエイ類は尻尾の棘が毒針になっているものもおり、取り扱いには十分注意してください。
サンゴよりは簡単?
海水魚の飼育は、サンゴに比べれば簡単ともよくいわれます。
海水魚の中で難易はありますが、“サンゴに比べれば”実際にほぼすべてが簡単といえるでしょう。
というのも、多くのサンゴは「清浄な水質」「適切な飼育環境(光量・水流・微量元素)」をシビアに要求するものが多いからです。
サンゴを適切に飼育できるレベルの環境が維持できている水槽であれば、マリンアクアリウム用として一般的に流通する海水魚はほぼすべて飼育が可能でしょう。
このため、サンゴの飼育条件に比べればすべての海水魚は等しく簡単といえます。
あくまでも“サンゴ飼育と比較した場合”の話なので、海水魚の中での難易度の上下はあります。
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