チョウチョウウオの魅力
チョウチョウウオの世界へようこそ。
チョウチョウウオとは、スズキ目チョウチョウウオ科の魚種の総称です。
円形で扁平な体型をした種が多く、いかにも“熱帯魚”らしい姿をしたグループです。
黄色を基調とした色鮮やかな体色を持つ種が多く、観賞魚として高い人気があります。
マリンアクアリウムにおいて流通するチョウチョウウオは数十種類以上にのぼり、コレクション性の高さも魅力です。
多くの種の体色は黄色・黒・白の3色で構成されていますが、種類によって模様の入り方が異なるので、まだ見ぬ種を求めて集めたくなるのでしょう。
チョウチョウウオの飼育は、飼育難易度の高い海水魚を飼育する上で必要な技術の基礎が詰まっています。
チョウチョウウオの飼育は決して難しいものではありませんが、上手に長期間飼育することができたら脱・初心者といえるでしょう。
チョウチョウウオ飼育の最大の特徴は「餌付け」にあるかもしれません。
購入してすぐは人工飼料を食べてくれないことが多いので、「どうやったら食べてくれるのか」と試行錯誤、工夫を凝らすこともチョウチョウウオ飼育の醍醐味といえます。
なお、チョウチョウウオは国内でも一部地域では採集が可能です。
高知県、和歌山県、静岡県、千葉県といった黒潮の影響を受ける地域で観察できます。
意外と身近で美しい海水魚であり、タイドプールで採集できる魚種の花形として知られています。
それでは、コレクションの楽しさと、
餌付けにまつわる苦悩と閃きが試されるチョウチョウウオの世界へ。
あなたを誘いましょう。
チョウチョウウオとは
チョウチョウウオとは、スズキ目チョウチョウウオ科に属する魚類の総称です。
扁平な体型でひらひらと蝶のように海中を舞うことから、観賞魚として人気の高いグループです。
このグループは非常に種数が多く、また入荷も比較的安定的です。
コレクション性の高さも魅力の一つといえるでしょう。
チョウチョウウオの仲間は、海水魚としては比較的飼育しやすいグループです。
上手に飼育するには“餌付け”が重要で、この餌付けそのものを醍醐味として楽しむ方もいます。
チョウチョウウオの魅力
集めて楽しい!
チョウチョウウオの仲間は流通する種数が多く、コレクション性の高さが魅力です。
白や黄色を基調としたさまざまな色彩を持つ種が世界中に100種類以上おり、ついつい集めたくなります。
チョウチョウウオを専門に集めて楽しむアクアリストもいるほど、その魅力は奥深いです。
餌付けの基本が学べる
クマノミやスズメダイは人工飼料を与えればすぐに食べてくれることが多いですが、チョウチョウウオの仲間の飼育には、基本的に餌付けが必要です。
購入してすぐに人工飼料を与えても、食べてくれないことが多いでしょう。
餌付けが必要な海水魚の中では、チョウチョウウオは最もスタンダードといえます。
チョウチョウウオの餌付けをクリアし長期間の飼育ができれば、海水魚飼育において初心者卒業といって良いでしょう。
餌付けの問題さえクリアできれば、あとはクマノミやスズメダイと飼育難易度はそう大きくは変わりません。
チョウチョウウオの飼育で身につけられる技術の多くは、それよりも飼育難易度が高いとされるさまざまな海水魚の飼育へと応用が効きます。
国内で採集も可能
チョウチョウウオの仲間は日本にも分布しています。
地域は限られますが、当該地域では普通に見ることができます。
黒潮の影響を強く受ける沿岸域で見られ、特に沖縄県、高知県、和歌山県、静岡県、千葉県の一部地域では、なじみ深い海水魚です。
自力で採集に赴く方もいるようです。
主なチョウチョウウオ
比較的流通が見られる、主な魚種をピックアップして紹介します。
アケボノチョウチョウウオ
学名: Chaetodon melannotus
最大サイズ:約18cm
サンゴ礁で見られるチョウチョウウオの中でも比較的ポピュラーな種類です。
体側を縁取る黄色、黒色の背中および頭部のバンド、そして名前の通り斜めに入る細かいラインが夜明け前の空をイメージさせられます。
比較的早めに人工飼料に餌付く傾向があり、飼育しやすい種です。
トゲチョウチョウウオ
学名: Chaetodon auriga
最大サイズ:約20cm
広範囲に分布するポピュラーなチョウチョウウオです。
成長すると背ビレの軟条がトゲのように長く伸びてきます。
やや縄張り意識が強いので、デリケートな小型種との混泳は避けたほうが良いでしょう。
比較的早めに人工飼料に餌付く傾向があり、飼育しやすい種です。
フウライチョウチョウウオ
学名: Chaetodon vagabundus
最大サイズ:約20cm
広範囲に分布するポピュラーなチョウチョウウオです。
白を基調とした体色と、体後部と尾ビレに並ぶ黒いバンド、黄色い縁取りが印象的な種です。
性格はやや神経質ですが、比較的人工餌にも馴れやすく、飼育しやすい種です。
チョウチョウウオ
学名: Chaetodon auriga
最大サイズ:約20cm
本州沿岸で普通に見られるチョウチョウウオです。
体色は黄色~オレンジ色で、眼には白に縁取られた黒色帯があります。
本州では一番よく見られる種であり、別名で「ナミチョウチョウウオ」や「並チョウ」などと呼ばれることもあります。
グループを指すときは「チョウチョウウオ」、本種を指すときは紛らわしいので「並チョウ」と使い分けられることが多いです。
ポピュラー種ですが少し神経質な性格をしているため、餌付けには時間がかかる場合があります。
チョウハン
学名: Chaetodon lunula
最大サイズ:約20cm
ユニークな模様のチョチョウウオです。
広域に分布しており、サンゴ礁域、岩礁域ともに普通に見られる種です。
昼間は少数で波間に漂い、夜間に索餌行動を開始します。
丈夫で飼育しやすい種ですが、エサの種類は数多く与えたほうが良いでしょう。
やや摂餌範囲が広く、ウミウシ類やゴカイも食べます。
それらの生物と同居させる場合は注意が必要です。
セグロチョウチョウウオ
学名: Chaetodon ephippium
最大サイズ:約20cm
背中の黒い模様が特徴のチョウチョウウオです。
成長するとトゲチョウチョウウオのように背ビレの軟条が長く伸びて優雅な風格が漂います。
太平洋~インド洋の広い範囲に生息していますが、地域差が多いことでも知られています。
比較的早めに人工飼料に餌付く傾向があり、飼育しやすい種です。
ミゾレチョウチョウウオ
学名: Chaetodon kleinii
最大サイズ:約14cm
インド洋~太平洋の広い範囲に生息し、地域変異個体も見られるポピュラーなチョウチョウウオです。
一見すると地味な模様ですが、飼い込むとウロコの青いスポットが浮き出てきて美しく仕上がります。
雑食性で餌もあまり選り好みせず、飼育しやすいチョウチョウウオです。
ただし、水質管理を怠ると白点病やリムフォスティスといった病気が発生しやすい点に注意が必要です。
スダレチョウチョウウオ
学名: Chaetodon ulietensis
最大サイズ:約15cm
内湾及び礁湖内の浅い水深に生息するチョウチョウウオです。
分布域が広く、さまざまな地域に生息しています。
雑食傾向が強く、本種は比較的容易に人工飼料に餌付きます。
イッテンチョウチョウウオ
学名: Chaetodon unimaculatus
最大サイズ:約20cm
名前の通り、体に黒い斑点が目立つチョウチョウウオです。
英名では、ティアードロップ(涙のしずく)と呼ばれています。
模様には地域差があり、インド洋産は頭部のバンドが太平洋産に比べて細いなどの違いがあります。
雑食性で餌もあまり選り好みせず、飼育しやすい種です。
ただし、水質管理を怠ると白点病やリムフォスシティス病にかかることがあるため注意しましょう。
アミチョウチョウウオ
学名: Chaetodon rafflessi
最大サイズ:約15cm
太平洋~インド洋にかけて広範囲に分布する、ポピュラーなチョウチョウウオです。
ライトイエローに網目状の模様が入った、名前通りの柄で分かりやすい色彩をしています。
人工飼料にもすぐに餌付くことが多く、飼育しやすい種です。
似た名前の「アミメチョウチョウウオ」とは全くの別種です。
アミメチョウチョウウオ
学名: Chaetodon xanthurus
最大サイズ:約15cm
太平洋~インド洋にかけて広範囲に分布する、ポピュラーなチョウチョウウオです。
網目状の黒い模様が特徴的で、それに加えて尾ビレと背びれから腹ビレにかけて鮮やかなオレンジ色が入ります。
全体的に華やかな印象の強い種です。
人工餌にも馴れやすく、飼育しやすい面からも人気が高いです。
似た名前の「アミチョウチョウウオ」とは全くの別種です。
ウミヅキチョウチョウウオ
学名: Chaetodon bennetti
最大サイズ:約18cm
黒い斑点に水色のラインが美しいチョウチョウウオです。
太平洋の広範囲に分布しています。
名前の由来は黒い斑点を月、水色のラインを海に見立てて付けられました。
主にミドリイシなどが豊富なサンゴ礁で単独か、ペアで生活してます。ポリプ食性が強いので、サンゴは食べられてしまいます。
ポリプ食のチョウチョウウオは餌付きにくい傾向がありますが、本種は比較的人工飼料に餌付きやすいといわれています。
トノサマダイ
学名: Chaetodon speculum
最大サイズ:約15cm
黄色ベースに黒のスポットが特徴的なチョウチョウウオです。
他の種に比べ若干おとなしめの性格をしており、気の強い種類と混泳させる場合は注意が必要です。
本種はポリプ食性が強く、チョウチョウウオの中でも餌付けが難しい種として知られています。
なおポリプ食性が強いので、サンゴは食べられてしまいます。
アサリなどにおいの強い餌や冷凍飼料を駆使して、根気良く餌付けていきましょう。
カスミチョウチョウウオ
学名: Hemitaurichthys polylepis
最大サイズ:約18cm
黄色と白でくっきりと染め分けられた、メリハリのある色彩が美しいチョウチョウウオの仲間です。
潮通しの良いサンゴ礁外縁、ドロップオフの水深40m以浅の中層に群れを作り、流れてくる動物プランクトンなどを食べて暮らしています。
サンゴのポリプなど餌をかじり取るタイプが多いチョウチョウウオの中では珍しく、本種は浮遊性の細かい餌を摂餌します。
チョウチョウウオの仲間は基本的にサンゴのポリプをかじってしまう種が多いです。
しかし本種はプランクトン食であるため、比較的餌付きは良いです。
ハタタテダイ
学名: Heniochus acuminatus
最大サイズ:約25cm
西部太平洋~インド洋に分布する、旗のように長く伸びた背ビレ、縞模様が特徴のチョウチョウウオの仲間です。
特徴的な体型を持ちますが、本種は人工飼料にも餌付きやすく、見た目よりも飼育しやすい種です。
フエヤッコダイ
学名:Forcipiger flavissimus
最大サイズ:約16cm
ヤッコと名がつきますが、チョウチョウウオに近縁な魚です。
長く伸びた口が最大の特徴です。
沿岸のサンゴ礁域や岩礁域の浅瀬から100m以深の深場まで生息していて、単独や小グループで岩穴などに生息しています。
本種は餌付けが難しいことでも知られています。
口の形状が特徴的なため、チョウチョウウオで一般に用いられるアサリよりも、ブラインシュリンプやホワイトシュリンプを与えたほうが良い結果が得られるようです。
慣れれば、細長い口で器用に人工飼料も食べてくれます。
インドスダレチョウチョウウオ
学名: Chaetodon falcula
最大サイズ:約17cm
スダレチョウチョウウオのインド洋版のような種です。
スダレチョウチョウウオに比べ、体前半部の鞍掛け模様がよりくっきりと明瞭に入るのが特徴です。
インドフウライチョウチョウウオ
学名: Chaetodon decussatus
最大サイズ:約20cm
フウライチョウチョウウオのインド洋版のような種です。
フウライチョウチョウウオに比べ体後方が黒ずみ、全体的にシックな印象です。
ゴールデンバタフライ
学名: Chaetodon semilarvatus
最大サイズ:約25cm
紅海固有種となるチョウチョウウオです。
美しい黄色の体色、学名が指す半分仮面をつけたような模様から、外国産チョウチョウウオの中でもトップクラスの高い人気を誇ります。
チョウチョウウオとしては珍しく、ペアか群れで生活しています。
一般的なチョウチョウウオに比べ一回り大きく育つため、将来的には60×45×45cm水槽以上の水槽で飼育すると良いでしょう。
スポッテッドバタフライ
学名: Chaetodon guttatissimus
最大サイズ:約12cm
クリーム色の体に細かいドット柄が美しいチョウチョウウオの仲間です。
比較的人工飼料にも餌付きやすく、飼育しやすい種です。
サイズは小さめですが、チョウチョウウオの仲間としては気が荒い部類に入ります。
混泳の際はご注意ください。
フォーアイバタフライ
学名: Chaetodon capistratus
最大サイズ:約14cm
尾の付け根に眼状斑を持つユニークな模様のチョウチョウウオです。
西部大西洋(カリブ海)に分布する種ですが、「スギアヤチョウチョウウオ」という別名もあります。
雑食性で飼育しやすい種類ですが、一般的なチョウチョウウオより一回りサイズが小さく、気が弱い面があるので混泳相手には注意が必要です。
サントスバタフライ
学名: Chaetodon xanthocephalus
最大サイズ:約20cm
セグロチョウチョウウオに似た配色を持つ、インド洋のチョウチョウウオです。
頭部から口元にかけて黄色い配色をしており、全体的清涼感のある色彩をしています。
セグロチョウチョウウオとは異なり、背ビレの後端は成長しても伸びることはありません。
環境に慣れるまではやや臆病な一面もありますが、基本的には丈夫で飼育のしやすい種類です。
オレンジフェイスバタフライ
学名: Chaetodon larvatus
最大サイズ:約12cm
紅海を代表するチョウチョウウオの仲間です。
他のチョウチョウウオは見られない落ち着いたカラーリングで気品があり、人気の高い種です。
種小名から、「ラーバタス」の別名でも知られています。
本種は自然下では、浅瀬にペアでテリトリーを確保し生活しています。
常にサンゴのポリプを突いているほどポリプ食性が強く、人工飼料には餌付きにくい傾向があります。
イサザアミやアサリなどを駆使し、根気よく餌付けましょう。
ホワイトフェイスバタフライ
学名: Chaetodon mesoleucos
最大サイズ:約20cm
紅海に生息するチョウチョウウオです。
派手な色彩が多いチョウチョウウオの中では異彩を放つ、シックな色合いをしています。
品のある色彩が非常に美しい種類です。
本種はチョウチョウウオの仲間の中では、やや気が強い性格をしています。
水槽に入れる際には他のチョウチョウウオよりも小さめの個体を選ぶことで、ケンカを最小限に抑えることが可能だと思われます。
珍しいチョウチョウウオ
ティンカーズバタフライ
学名: Chaetodon tinkeri
最大サイズ:約15cm
メリハリの効いたカラーリングが美しい、ロア亜属のチョウチョウウオの一種です。
かつてハワイ便で入荷が見られました。
マルケサンバタフライに似ていますが、本種は背ビレから尾ビレにかけて黒く染まります。
また、比較的深場に生息しています。
マルケサンバタフライ
学名: Chaetodon declivis
最大サイズ:約12cm
黄色を基調としたメリハリのある体色が美しいチョウチョウウオです。
かつてクリスマス島で採集された個体が、ハワイ便で入荷していました。
本種は雑食性で、自然下では小さな甲殻類やゴカイなどを食べていると考えられています。
同じロア亜属で近縁種のティンカーズバタフライとは、体後半部の色が黄色いことで区別がつきます。
バンクバタフライ
学名: Prognathodes aya
最大サイズ:約15cm
二本の太いバンド模様と、長く伸びる背ビレの棘条が特徴的なチョウチョウウオです。
限られた海域の深い水深に生息しており、高水温を苦手とする特性があります。
やや低めの水温を好み、22度前後が調子が良いようです。
チョウチョウウオ飼育の基本
基本的な海水魚飼育用の設備がそろっていれば、問題なく飼育できます。
基本的に熱帯性なのでヒーターは必要です。
水温は24℃前後を保つようにすると良いでしょう。
チョウチョウウオ飼育の最大のポイントは「餌付け」です。
餌付けをクリアできれば飼育は容易です。
タイドプールで見られる種類は、比較的水質の変化にも強めです。
外洋に見られる種類は水質の変化に神経質なものもおり、水換えを怠ると病気が発症しやすい傾向があります。
積極的な水換えで、水質の維持に努めましょう。
水槽の選択
生体のサイズに合わせ、30~90cm水槽が良いでしょう。
フィルターが設置できるものであれば、どのサイズでもOKです。
多くのチョウチョウウオは最終的に20cm前後のサイズへと成長します。
手のひら大ぐらいのサイズには育つので、最終的なサイズを考えると60×45×45cm以上の水槽を想定しておくと安心です。
とはいえ、販売サイズは5~10cm程度と小さいことも多いです。
個体の成長に合わせて、水槽もサイズアップしていくと良いでしょう。
フィルター、照明が付いたセットならより安心して始めることができますね。
フィルターの選択
上部式フィルターまたは外部式フィルターが良いでしょう。
30cm以下の小型水槽の場合は、プロテインスキマー機能付きの外掛け式フィルターがベストです。
タイドプールに暮らす種はスズメダイやクマノミと同じく、さほど水質に敏感ではありませんが、特に外国産など外洋に暮らす種は水質に敏感な傾向があります。
プロテインスキマーは、基本的に設置することをおすすめします。
プロテインスキマーの選択
チョウチョウウオはタイドプールにも見られる種であれば水質の変化・悪化には強めの魚種ですが、外洋性の種は水質の変化にやや敏感な傾向があります。
いずれにせよ、可能であれば設置しておくことをおすすめします。
フィルターにプロテインスキマー機能が付いていない場合は、水槽サイズに合った外掛け式のプロテインスキマーを1台設置しておくと良いでしょう。
底床の選択
海水魚飼育用の底床であれば、何を使用しても構いません。
「サンゴ砂」が最も一般的です。粒の大きさはお好みで構いません。
最初からバクテリアが添加されている「ライブサンド」を使うと、水槽の立ち上がりが早くなります。
砂利系の底床も使用可能です。
餌
チョウチョウウオを餌付けるには、アミノ酸系の栄養強化剤が有効です。
人工飼料や乾燥飼料を液に浸してから与えるだけと、取り扱いも容易です。
他にも、アサリのむき身も古くから用いられています。
チョウチョウウオに与える場合は、細かく刻んだほうが食べやすくなります。
最終的には顆粒またはフレークの人工飼料に餌付けます。
餌付くまで時間がかかることもありますが、一度餌付けに成功すれば、それ以後は人工飼料を食べてくれるようになります。
※ごくまれに、人工飼料を餌として全く認識できない個体がいます。
そのような個体は、生餌で飼育し続けましょう。
チョウチョウウオの食性は大きく分けて3グループに分けることができます。
最終的には人工飼料に餌付ける形を目標としますが、もともとの食性によって餌付けの難易度には差があります。
3グループのうち、「雑食系」グループは比較的餌付きやすいグループとして知られます。
はじめてチョウチョウウオを飼育する場合は、この「雑食系」から選ぶと良いでしょう。
流通量の多い人気種は、ほとんどがこの「雑食系」グループに属しています。
混泳
チョウチョウウオの仲間は縄張り意識が強く、大型個体が複数いるとケンカする可能性があります。
しかし「5cm程度の幼魚のうちから混泳させる」と、ケンカの発生率を下げることが可能です。
つまるところ小型個体のうちは、混泳させてもあまり問題は生じません。
お互いに見知った仲であれば、その後成長してサイズが大きくなってもケンカはしにくいようです。
6cm以上の見知らぬ個体をいきなり合流させると、ケンカしやすいので注意が必要です。
また、「枝状のライブロックを多めに入れる」ことでも、追い回されても隠れやすくなり、また自然下の環境の再現にもなるため良い成果が得られるようです。
海水魚との混泳
体型の異なる種は攻撃対象にならないようです。
ハギやヤッコなどは扁平で体高があり、体形が似ています。
チョウチョウウオのほうが大きい場合は注意が必要です。
クマノミやスズメダイ、ハゼ、ギンポなどは体形が異なるので混泳可能です。
サンゴとの混泳
サンゴとの混泳相性は悪いです。
どのチョウチョウウオもサンゴのポリプをついばむ習性があるため、基本的におすすめできない組み合わせです。
特にポリプ食性を持つ種はサンゴを主食とするので、相性は最悪です。
唯一といってよいほどの例外として、「カスミチョウチョウウオ」のみ混泳が可能です。
病気
チョウチョウウオの仲間は比較的丈夫ですが、水質管理を怠ると白点病にかかりやすいです。
白点病を発症してしまった際の治療には「マラカイトグリーン」を主成分とする魚病薬が有効です。
ただし、一度病気を発症した魚の治療は困難を極めます。
マラカイトグリーンはサンゴやイソギンチャクはじめとする無脊椎動物が入っている水槽には使用できません。
このため、隔離しての薬浴が基本となります。
白点病は一度発生すると、治りにくい厄介な病気です。
日頃からの予防策としては「白点キラー」も有効です。
こちらは魚病薬ではなく水質調整剤となります。
水中の原虫や菌の増殖を阻害し、発病や進行を予防することができる商品です。
既に白点病を発症している個体に関しては、自身の代謝能力で回復してもらう必要があるという点が、魚病薬との違いです。
スズメダイやハゼなどは多少管理を怠ってもすぐに病気を発症することはあまりありませんが、チョウチョウウオは管理を怠るとその影響がすぐに現れやすいです。
1週間に1回程度、適切な頻度での換水は予防として最も簡単かつ有効な手段の一つです。
チョウチョウウオ用語集
ポリプ食・・・サンゴのポリプを主食とするチョウチョウウオです。
チョウチョウウオは全般的にサンゴとの混泳相性は悪いですが、このグループはサンゴを積極的についばむため、とりわけ相性が悪いです。
バタフライ・・・チョウチョウウオの英名です。
英名ではバタフライフィッシュと呼びます。蝶々魚の英訳そのままですね。
日本近海に分布しておらず、海外から輸入されるチョウチョウウオは「〇〇・バタフライ」といった名で流通することが多いです。
逆に、「〇〇チョウチョウウオ」の名で流通する種は日本にも分布する種であることが多いです。
死滅回遊・・・黒潮の流れに乗って、本来の分布域外まで回遊が行われる現象です。
黒潮の影響を受ける一部地域に、本来は沖縄付近の海域に分布する熱帯性の魚種が見られるようになります。
なおこの回遊は一時的で、冬になると水温低下により定着することなく死滅してしまいます。
このため、無効分散とも呼ばれます。
従来は千葉県が北限と考えられていましたが、近年では海水温の上昇により、死滅回遊魚が観察されるラインがだんだんと北上しつつあるようです。
死滅回遊は毎年夏の終わり~秋にかけてがベストシーズンです。
チョウチョウウオの仲間は、採集可能な死滅回遊魚としてはトップクラスに人気の高いグループです。
チョウチョウウオの採集をきっかけに、マリンアクアリウムに興味を持たれる方もいるようです。
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