どうも、ほにゃらら sp.です。
今回のテーマは「マリンアクアリウムで使用する底床」について。
淡水のアクアリウムと海水のアクアリウムでは、メインで使用する底床の種類が若干異なります。
今回は主にマリンアクアリウムで使用する底床の種類について解説していきます。
海水水槽で求められる底床の性質
マリンアクアリウムで求められる底床の性質は「pHを酸性に傾けないこと」。
多くの海水魚はpH8.0±0.4程度が最適です。
これよりも酸性に傾くと調子を崩しやすくなります。
したがって、pHを酸性に傾ける作用のある底床は不向きです。
カルシウム成分を含んでいると、なお良いとされます。
主な海水水槽向け底床
サンゴ砂
白化したサンゴ片を主成分とした底床です。
サンゴ礁を故郷とするマリンアクアリウム用に流通する多くの生体にとっては、最も現地の底質に近い底床です。
サンゴ砂はいくつかの粒サイズに分けて市販されています。
飼育したい魚種や目的に応じて、好みのサイズを選びましょう。
サンゴ砂は海水水槽では最も標準的な、基本の選択肢といえます。
淡水のアクアリウムにおいては用途が一部の魚種に限られますが、海水のアクアリウムでは定番の底床です。
サンゴ砂の粒サイズ
- パウダー:チンアナゴやミズタマハゼなど、底床に潜ったり、食んだりする習性を持つ生体に適しています。
- 小粒:一般的なハゼやギンポなど、底床に潜ったり食んだりする習性を持たない、底生の海水魚に適します。
- 中粒:スズメダイやチョウチョウウオなど、一般的な遊泳性の海水魚に適します。
底床にこだわりが無い遊泳性の生体には、中粒を採用すると管理が容易です。
- 大粒:共生ハゼなど、サンゴ片を組み合わせて巣作りする習性を持つ生体に適しています。
単体で使用することはあまりなく、小粒や中粒と組み合わせて使用するのが基本です。
底床以外の用途として、バクテリア定着用のろ材としても向いています。
適する粒サイズが異なる複数の生体を混泳させる場合は、より小さい粒サイズを好む生体に合わせると良いです。
例えば、チョウチョウウオとミズタマハゼを同時に飼育したい場合は、より細かな粒を好むミズタマハゼに合わせてパウダータイプを選ぶと良いでしょう。
好む粒サイズが極端にかけ離れている組み合わせ(パウダーを好む種と大粒を好む種)では、両者を混泳させる場合はパウダーの区画と大粒の区画を設けましょう。
この場合、敷いた時は区画が分かれていても、しばらくすると生体による攪拌で混ざってしまいます。
定期的に各区画の粒の配置を整えましょう。
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アラゴナイトサンド
貝殻や微サンゴ片を主成分とする底床です。
アラゴナイトとは鉱物の「霰石」を意味しますが、アクアリウム用に流通するアラゴナイトサンドの主成分は霰石ではありません。
海水魚中心の水槽よりもサンゴ水槽に向く底床で、サンゴ砂以上にpH低下を抑える作用があり、水質安定効果が高いとされます。
水質の変化に敏感なヤッコ類などの底床としても良いでしょう。
飼育難易度が高いとされる生体と相性が良い傾向があります。
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大磯砂
淡水のアクアリウムでは定番の石系底床です。
サンゴ礁を出身とする海水魚にはミスマッチなのであまり使われませんが、近海魚と相性が良いです。
日本近海に分布する海水魚や、釣りなどで採集してきた海水魚を飼育する場合は、こちらのほうが合う場面も多いでしょう。
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石系底床は使用可能
淡水魚に広く用いられる底床のうち、石系の材質に由来するものは基本的に海水魚にも使用可能です。
砂や砂利系の底床の大部分が該当します。
熱帯性の海水魚には見た目がミスマッチになることも多いですが、近海魚には良く似合うこともあります。
お好みに応じて、採用を検討してみるのも良いでしょう。
ドライサンドとライブサンド
海水水槽用の底床には、一般的なドライサンドの他に、バクテリア定着済みの「ライブサンド」と呼ばれるタイプもあります。
いわゆる一般的な底床は、基本的にすべてドライサンドです。
ライブサンドは多くの場合マリンアクアリウム専用に「バクテリア添加済み」など記載した上で、湿った状態で販売されています。(湿っている分、袋は重くなります。)
ライブサンドの方が高価な傾向がありますが、水槽を初めて立ち上げる際にネックになりやすい「バクテリアの定着」の工程をスピーディーに済ませられるという大きなメリットがあります。
ライブサンドを使用した水槽のほうが、安定的な水質をすばやく実現しやすくなるためおすすめです。
なお、時間をかければドライサンドでもバクテリアは定着します。
ドライサンド
標準的な底床です。
ライブサンドに対し、乾燥状態で販売されているため”ドライ”と呼ばれます。
特に記載がなければふつうはドライサンドです。
ライブサンド
バクテリアの添加が行われた底床です。
海水で熟成させバクテリアを定着させており、いわば”生きた”砂であるため、こう呼ばれています。
湿った状態で販売されているのが特徴です。
ドライサンドにバクテリアを定着させたものがライブサンド
ライブサンドは、ドライサンドを海水水槽内で一定期間熟成させることにより作られます。
ドライサンドを敷いた水槽に後からバクテリア剤を添加してもやっていることはほぼ同じです。
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後からバクテリア剤を添加した場合は、バクテリアが定着するまでの工程が増えます。
一方で、ライブサンドでは最初から定着しているのでより立ち上がりが早くなります。
海水水槽は淡水の水槽に比べ、バクテリアの定着に時間がかかる傾向があると言われています。
バクテリアを添加しない場合は、立ち上げ(バクテリアの定着)まで2週間~1カ月以上かかるのが普通です。
ライブサンドを使用すると、既にバクテリアが定着した状態からスタートできるので、7~10日程度と、より素早くろ過を立ち上げることができます。
海水水槽には不向きな底床
淡水のアクアリウムでは使用されるものの、海水のアクアリウムでは全く不向きな底床もあります。
ソイル
海水水槽において、ソイルは全く不向きです。
淡水のアクアリウムにおいて水草の育成には活躍する定番の底床ですが、含まれる有機酸にpHを低下させる作用があるため海水水槽とは相性が悪いです。
ゼオライトサンド
アンモニア吸着効果があり、水質安定作用のあるゼオライトサンド。
意外にも、海水水槽での使用は全く不向きです。
実はイオン交換作用によるアンモニア吸着効果が働くのは、淡水中の話です。
海水中では、逆に捉えたはずのアンモニアを放出します。
またカルシウムやマグネシウムを吸着してしまうこともあります。
このため淡水の水槽とは異なり、海水では本来の吸着作用が全く期待できないどころか、逆効果に働くリスクもあるのです。
したがって、海水水槽とは相性が悪いです。
ZEOvitシステムでは重要な底床
ゼオライトは基本的に海水水槽では使用しません。
しかし、「ZEOvitシステム」と呼ばれる低栄養塩管理を行い、特殊な添加剤で微量元素をコントロールしたい場合には使用されます。
これはサンゴをパステルカラーに仕上げたい場合に利用される、特殊な手法です。
「ZEOvitシステム」を採用する場合は、ゼオライトは活躍します。
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参考:海水水槽では使えないレイアウト素材
底床同様に、海水水槽では使えないレイアウト素材もあります。
自然の海岸では流木やココナッツを見かけることがありますが、水槽内での使用は有機酸が含まれているため含まれているため不向きです。
自然下において、広大な海の水量からすればこれらに含まれる有機酸は微々たるものです。
したがって影響はありません。
しかし水槽という限られた水量の中では、これらに含まれる有機酸がpH低下作用において無視できない存在になってしまうのです。
主に植物由来の素材に多いのですが、木質の素材など多かれ少なかれ「pH低下作用」のある素材は、すべて海水水槽には不向きといえます。
マリンアクアリウムの底床 まとめ
酸性に傾けない素材を選ぼう
- 「サンゴ砂」が最も基本となる選択肢です。
飼育する生体が持つ習性に応じて、適切な粒サイズのものを選びましょう。
- サンゴ砂は異なる粒サイズを混ぜて使用することもできます。
必要に応じて混ぜたほうが、自然の環境を再現できます。
- サンゴや水質に敏感な生体を飼育する場合、「アラゴナイトサンド」も有効です。
- 海水専用品にバクテリア定着済みの「ライブサンド」があります。
これに対し、一般的な底床は全て「ドライサンド」です。
「ライブサンド」を使用すると、より早期のバクテリア定着が見込めます。
- 大磯砂も使用可能です。
熱帯性の海水魚とはややミスマッチですが、近海魚には似合うかもしれません。
- 水草水槽では活躍するソイルは、海水水槽には全く不向きです。
- ゼオライトサンドのアンモニア吸着効果は、海水水槽では働きません。
▼こちらも参考(淡水版)
底床の種類とメリット・デメリットについて解説
アクアリウムにおいての底床の種類や特徴、メリット・デメリットの解説をしました。底床に合った魚種も紹介しているのでぜひご覧ください。
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