みなさんこんにちは、Tです。淡水のアクアリウムとは違い海の中で生活する生き物を楽しむ、マリンアクアリウム。マリンアクアリウムで生き物を飼育するために必須となるのが「海水」です。しかし、天然の海水って手軽に手に入らないですよね。そこで今回は「人工海水」をテーマに、天然海水との違いを解説しながら深掘りしていきます。
マリンアクアリウムに必須の海水
海に生息する生き物の飼育を楽しむマリンアクアリウム。淡水の熱帯魚の飼育や水草の育成とは環境が全く違います。1番の大きな違いとしてあげられるのはやはり「海水を使用する」点でしょう。いわずもがな、淡水とは違い蛇口から出てくるものではありません。天然海水を沢山くみにいけるような場所が身近にない場合、何とかして手軽に海水を手に入れることはできないのでしょうか?
活用しよう!人工海水の素
そんな不安を解消してくれるものが今回のテーマである「人工海水」です。
人工海水とはその「人工海水の素」を水に溶かして作られた飼育水のことです。人工海水の素は限りなく海の環境に近づけるよう、ミネラル分などのさまざまな成分が配合されています。
塩であればもっと身近にありますよね。そう、どこのご家庭にもあるであろう食塩です。「食塩を使って人工海水を作ればいいのでは?」と思う方もいらっしゃると思いますが、結論はNO。
先述した通り、自然界の海水にはさまざまな物質や栄養素が含まれておりそれを糧に生きている生物も少なくありません。
我々の身近にある食塩は「塩化ナトリウムの純度が99%以上で、炭化マグネシウム約0.4%を合わせて作られたもの」とされており、海中のミネラル分とは程遠い成分なのです。
食塩で人工海水を作っても海水魚の飼育は不可能です。
一方、人工海水の素は天然海水と同等の豊富なミネラル分を含んでいるので安心してマリンアクアリウムに使用することができます。
人工海水ってどうやって作るの?
では、身近に入手できる人工海水の素をつかって人工海水を作ってみましょう!作り方を解説します。
用意するものはこちら
①人工海水の素
②15Lバケツ
③比重計
④計量カップ
それでは人工海水を作っていきましょう!
①まずは水を張りカルキを抜きます。水道水のカルキを抜きたい時はカルキ抜きを使用するのがオススメです。
プロテインスキマーを使用している方はカルキ抜きに「粘膜保護成分」が含まれているかどうか確認しましょう。粘膜保護成分はプロテインスキマーから泡があふれ出してしまう「オーバースキム」の原因となってしまいます。
\オーバースキムとは?/
粘膜保護成分が含まれていないカルキ抜きの代表(プロテインスキマー使用時の併用OK)
粘膜保護成分が含まれているカルキ抜きの代表(プロテインスキマー使用時の併用NG)
※人工海水の素によってはカルキ抜きの成分が含まれている場合もあります。説明文をよく読んで使用しましょう
②人工海水の素を投入します。この時、事前に水温を24℃に調整しておきましょう。後述する「比重」が関係してきます。水温が24℃なのを確認したら1リットルの水に対し33グラムを目安にして投入します。10リットルなら330グラムになります。
③よくかき混ぜます。
④比重計を使って比重を測ります。海水の最適な比重は水温が24℃で1.020~1.023です。比重が低ければ人工海水の素を、比重が高ければ水を足して比重を調節してください。
適切な比重になれば人工海水の完成です!
※生物が入っている水槽に直接人工海水を入れないでください。
※人工海水は必ず水槽とは別の容器で溶かし、比重を正しく調整してから水槽に入れてください。
\比重・比重計ってなんだ?/
人工海水を使うメリット・デメリット
それでは、人工海水を使用するメリットとデメリットを紹介します。
人工海水を使うメリット
①手軽に入手でき作る量の調節が可能。
最大のメリットは簡単に入手できることでしょう。チャームでは天然海水も扱っていますが、天然海水はストックできませんし何より重いことがネックです。人工海水なら作る量の調節もできます。
②細菌や藻類の混入の危険性が低い
天然海水は名前の通りに海から海水をそのままくんでいます。海水を作らなくてもよいというメリットもありますが、天然物なので藻類や細菌等の混入の危険性があります。人工海水はそのような危険性はほぼありません。
人工海水を使うデメリット
①毎回比重を調整して作る必要がある
仮に水槽が90cmで水量が約160リットルだとすると、飼育水の4分の1を水換えするには人工海水を40リットル用意する必要があります。家庭用のバケツが1つ10リットルだとすると、冒頭で説明した工程を4回繰り返すことになります。40リットルもの大きなタンクに水をくんだり、水槽に水を供給するのも一苦労です。
②メーカーや製品によって成分が違う
人工海水の素ならなんでもよいという訳ではありません。海水魚育成向け・サンゴ育成向けの人工海水の素が存在し、ご自宅の水槽環境に合った商品を探す必要があります。
このようなデメリットを少しでも軽くするために、チャームでは人工海水作成セットをご用意しています。比重計やバケツ・ヒーターなど、人工海水の作成に必要なものがセットになっています。また、エアーポンプを稼働させれば手でかき混ぜる必要がなくなり、他の作業をしながらでも人工海水を作成することができます。
人工海水作成セット 人工海水10L用×3袋付き
人工海水作成用品セット(立ち上げ水換え) 説明書付
人工海水の素をストックしておく時の注意事項
手軽で便利な人工海水の素。ストックしておけるのも魅力の1つではないでしょうか。ただし、ストックしておく際に気を付けてほしいことがあります。
開封した人工海水の素の保存方法について
新品の人工海水の素は冷暗所においておけば何も問題はありません。保管時に気を付けていただきたいのは「開封済みの人工海水の素」です。開封済みのものをそのまま置いていおくと空気中の水分を吸ってガチガチに固まってしまうことがあります。こうなると水に溶かしても完全に溶け切らなくなってしまいます。さらに、白い粒が沈殿してpHも下がってしまうのでこの状態での使用はおすすめできません。
人工海水の素を使い物にならないように保存するには密閉できる容器に乾燥剤と一緒に入れることがポイントです。バケツで販売されているものはバケツが保管容器になるのでそのまま乾燥剤を入れるだけでOK!袋で購入したもので使い切らなかったものを保存したい時は別途でタッパーなどを用意し、密閉して乾燥剤を入れておきましょう。
もちろん、乾燥剤は一定期間で取り換えます。
例えば、水換えが1~2週間に1回くらいなら水換えのタイミングと一緒に乾燥剤を取り換えるのが良いでしょう。たったこれだけでサラサラの状態を維持できます。
おすすめの人工海水の素をご紹介
それではおすすめの人工海水の素のご紹介をしていきます。
レッドシーソルト
紅海の海水を天日干しして精製しており、カルシウムやマグネシウム、KHやpHを上昇させ海水魚やサンゴをより良いコンディションで飼育できるように調整してくれます。ビギナーからベテランまで誰もが使いやすいです。
インスタントオーシャン
海水魚、無脊椎動物、海藻などに使えるオールラウンドタイプです。自然の海に含まれるすべての主要元素と微量元素28種以上を含んでいます。
コーラルプロソルト
こちらもレッドシーソルトと同じように紅海の海水を天日干しして精製しています。カルシウムやマグネシウムの配分が高く、ハードコーラルの成長に最適です。リーフアクアリウム、特にLPSとSPSサンゴの飼育やコーラルフラグの育成をされている方に特におすすめします。
リーフエボリューション シーソルト
オーガニックな原料を使用した人工海水の塩です。
海水魚とサンゴを同じ水槽で飼育している方におすすめ。サンゴの最適な成長と色揚げ、魚の健康のために水槽内の生物学的プロセスをサポートする有益なバクテリアの餌やアミノ酸・ビタミンが含まれています。さらに、サンゴのポリプの開花と成長を促進する10種類のアミノ酸を含んでいます。
\こちらの記事でも紹介しています/
シーライフ
主に海水魚の育成を楽しんでいる方におすすめです。自然海水にもっとも近い人工海水と評判の高いシリーズで、水にも大変溶けやすく使いやすい製品となっています。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
人工海水について、お分かりになりましたでしょうか?簡単に入手できる人工海水の素。ご自宅の水槽にピッタリのものを探してみてください!
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