皆さんこんにちは、Tです。突然ですがサンゴは好きですか?当コラムは、これからサンゴを飼育したいと思っている方に向けてサンゴの基礎知識を発信するものです。サンゴ水槽を始めたいけれどそろえる機材はお高めだし、いきなりガッツリとレイアウトをするのはハードルが高い……という方は必見!実はサンゴ水槽を立ち上げるのにおすすめな季節はこれからの時期なんです!
フラグサンゴで小型水槽でもサンゴ飼育を楽しもう!
サンゴ水槽を始めたいと思っているあなた!少しでも水槽の立ち上げ費用を抑えたいと思っているあなた!
そんなあなたには寒くなるこの時期からの水槽立ち上げがオススメです!
サンゴといわれて想像されやすいのが、上の写真のような大きなサンゴたちがたくさんレイアウトされているイメージ。しかし、ここまで成長させきれいに維持させるためには相当な経験と時間が必要です。もっと気軽にサンゴ飼育を楽しむことできないのか……!
ここで登場するのが「フラグサンゴ」です。
フラグサンゴとは、サンゴプラグという直径約2cm程度の土台に小さなサンゴを取り付けたものです。ひとつのサンゴが非常に小さいため、コレクションにしたい、小さいサンゴから育成を楽しみたいという方におすすめです。
失敗から学ぼう!サンゴを健康的に育てるコツ
前回はフラグサンゴの飼育に必要な用品を一挙にご紹介しました。第5回の今回はいよいよフラグサンゴを上手に飼育するためのポイントをご紹介します!
▽前回の記事はこちらから
サンゴ飼育のビギナーにとって最も難しく、それでいて最も大切なこと。それは「サンゴを健康的に育てること」です。やはりこれをマスターしなければ、次のどのステップにも進めません。とはいえ、お店で「初心者向けサンゴ!」として販売されている種であっても、失敗はつきもの。いや、むしろ失敗から学ぶべきことの方が多いのです。
サンゴの飼育の失敗例とともに原因を紐解いて、その対策・解決方法を学んでいきましょう!
ライブロックを購入したまま入れたら水槽の環境が崩壊!
サンゴ水槽を立ち上げる際、バクテリアの定着とサンゴの土台として使うためにライブロックを購入して水槽に導入する方は多いでしょう。水質浄化や水槽の立ち上げのきっかけとして優秀なライブロックですが購入してそのまま入れてしまうと水槽の環境が崩壊してしまう可能性が高いです。それは、ライブロックの中に存在する生物や微生物の腐敗した死骸が原因。このような事態に陥らないためにも、ライブロックを水槽に導入する前に「キュアリング」を行うことをおすすめします。
\詳細はこちらから/
サンゴのポリプが開かない!
サンゴの育成では「ポリプが開いているかどうか」が重要です。サンゴのポリプは水中のプランクトンをキャッチする役割を持っており、サンゴに栄養を届ける最初の段階ともいえるでしょう。
サンゴのポリプが開かなくなっているときは、水槽内の環境の何らかがサンゴに合っていないという証拠。代表的な原因は「水流が足りない」「照明がサンゴに適したものではない」「水温が高い」などが挙げられます。
・水流が足りない
⇒サーキュレーターを設置していない場合は設置しましょう。すでに設置している場合は、コントローラー付きのものはより強い水流に調整します。コントローラーがないものは増設をおすすめします。
・照明がサンゴに適したものではない
⇒サンゴ専用の照明が多くリリースされているのでこれらを使用します。
・水温が高い(26℃以上になっている)
⇒水槽用クーラーがない場合はエアコンで調整するか新しく買い足しましょう。クーラーがすでに設置してある場合はスペックが足りていないので、より大きいクーラーを購入しましょう。
原因は上記だけではない可能性もあります。水質検査キットなどを使って水質検査を行うなど、さまざまな角度から飼育環境の改善を試みることが大切です。
1つの方法として水替え時に天然海水を使用するとサンゴのポリプが開くことがあります。天然海水に含まれるミネラル分と水替えによる水質の改善による効果が大きいものと思われます。人工海水と比べるとコストはかかってしまいますが、サンゴが不調の原因が特定できない時やなんとなく不調だと感じるときは、天然海水を使ってみることもおすすめです。
サンゴが小さくなっている気がする!
多くの観賞用サンゴは「造礁サンゴ(ハードコーラル)」と呼ばれる部類に属します。そのほとんどが体内に「褐虫藻(かっちゅそう)」という微生物を宿して共生しています。この褐虫は日光を浴びることで光合成をし、その栄養分をサンゴに分け与えており、多くの造礁サンゴの主な栄養源となっています。サンゴが小さくなっていると感じた時は褐虫藻からの栄養が不足している可能性が高いです。
\サンゴの体のしくみについてはこちらから!/
\SPS?LPS?それってなあにこちららから学べます!/
サンゴが白っぽくなる白化現象が起こっている時は褐虫藻の数が不足している証拠。光量が足りておらず、褐虫藻が十分に光合成できない環境になっている場合があります。
LPSやイソギンチャクなどの褐虫藻からの栄養に依存しない種類は、水槽内の環境では栄養不足になりやすいので専用のエサを使って給餌する必要があります。
サンゴが溶けた!
サンゴにとってあまり適していない状態が続くとサンゴが溶けてしまう場合があります。
サンゴが溶けてしまうというのはどういうことなのでしょうか?上の図のような構造をしているサンゴですが、適していない環境が続いてしまうと「骨格」を除いたすべての組織がなくなってしまうのです。サンゴが溶けてしまう原因としては以下のようなことが挙げられます。
・海水の比重がズレている
海水には「比重」が存在します。水の量に対してどのくらいの塩分が含まれているかの値であり、サンゴや海水魚飼育において非常に重要な数値です。比重は比重計を用いて計測します。比重がずれているのは、比重計が正しい数値を表せていない場合が多いです。精度の高い比重計を使うことをおすすめします。
・水温が高すぎる
サンゴにとって高水温は大敵です。夏季だと水槽用クーラーを使用していないと水温は30℃を超えてしまいます。生き物を健康に育てるためにも設備はしっかりと整えましょう。
\比重計についてもっと詳しく知りたい方はコチラをチェック!/
よかれと思って添加剤を規定量以上に投入したらサンゴが☆に!
海水の飼育に限らず、添加剤は必ずパッケージや説明書の規定量を厳守しましょう。
投入した分だけ良い効果が得られるものではありません。人間も適切な塩分や糖分は健康に良くても、取りすぎは病気になりやすくなってしまいます。どんなものでも過剰にありすぎると良くないということですね。
水の蒸発が多いので淡水を足し水していたらサンゴの状態が悪化!
カルキ抜きした淡水を足し水すること自体は問題ありません。ただし、比重が極端に上下するとサンゴにダメージを与えてしまいます。比重計で比重を測りながら行いましょう。また、「ニッソー 自動給水器 水足しくん」などを使って蒸発した分だけ、淡水が足されるようにしておくと比重が極端に上下しにくくなります。
これはあくまでサンゴ飼育を行う上で基本的な事柄です。これを守っていればきっとフラグサンゴの育成もうまくいくはず!
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
小型水槽でも飼育が簡単なフラグサンゴ。大きな機材が必要ない上に水温の冷却にそこまで気を使わなくて良い今からの季節に、ぜひサンゴ育成にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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