気温、水温の高い春から秋は磯遊びのシーズン。特に夏のシュノーケリングは最高です。
磯遊びの魅力は、採集そのものはもちろん、観察や飼育まで楽しめることにあります。
潮が引いて海水が取り残されたタイドプール、潮だまりにはさまざまな生き物を見ることができます。
場所によってはウニやサザエ、タコもいるぞ~!ということもあるでしょう。
でも、それって採って大丈夫なんでしょうか?
漁業権侵害で逮捕や罰金も
サザエの密漁で逮捕!なんてニュースを見聞きしたことはありませんか。
逮捕された理由はなぜでしょうか。
・売りさばくために採ったから?
・大量に採ったから?
・サザエが人気食材だから?
いいえ。逮捕されたのはそのエリアにおける漁業権侵害にあたるためです。
自分が食べるために採っても侵害にあたります。
量が少ないから、飼育するからといっても通用しません。
人気、高級食材に限らず、ワカメであっても漁業権侵害となれば懲役刑または罰金が科せられます。
特に近年は悪質な密漁が目立つため、厳罰化とともにパトロールも強化されています。
漁業権とは
海岸線に近い水域には「漁業権」が設定されていることがあります。
漁業権とは、平たくいうと免許を受けた漁協に属する漁師さんのための権利です。漁師さんたちは日々、決められた水域やルールの下で資源を管理しながら漁業を行っています。
漁業権が設定されたエリアでは、種類によっては漁師さん以外には自由に採ることができません。
知らなくて採ってしまっても、漁業権対象種であれば漁業権侵害には変わりないのです。
対象となる種類は、エリアによっても異なります。
例として、筆者スズキが好きな静岡県の伊豆エリアを見てみましょう。
免許番号 | 漁業権者 | 漁場の位置 | 漁業権対象種 |
共第4号 | 伊豆漁協 | 東伊豆町、河津町地先 | いせえび、かめのて、あわび、とこぶし、さざえ、ばていら、くぼがい、たこ、なまこ、うに、わかめ、かじめ、あらめ、ひじき、のり、てんぐさ、つのまた、とさかのり |
共第7号 | 伊豆漁協 | 南伊豆町地先 | いせえび、ふじつぼ、かめのて、あわび、とこぶし、さざえ、ばていら、くぼがい、くまのこがい、はまぐり、たこ、なまこ、うに、もずく、はばのり、わかめ、かじめ、あらめ、ひじき、ほんだわら、のり、てんぐさ、ふのり |
共第8号 | 伊豆漁協 | 松崎町地先 | いせえび、あわび、とこぶし、さざえ、ばていら、はばのり、ひろめ、ひじき、のり、てんぐさ |
同じ伊豆漁協ながら地域によって漁業権の対象となる魚種が違うことがわかりますね。
なお、赤色の太文字は、冒頭に挙げたウニやサザエ、タコです。東伊豆町や河津町、南伊豆町では漁業権対象となっていますが、松崎町ではウニやタコは漁業権の対象にはなっていません。
採っていいのか迷ったら、磯遊びをする地域の漁業協同組合に問い合わせると確実です。
漁業権が設定されているかどうかは、海上保安庁が運用する海洋状況表示システム「海しる」で調べることもできます。
なお、漁業権は海だけではなく、川や湖などにも設定されている点にご注意ください。
淡水魚では、マスやコイ、フナ、ウナギが対象になっています。
絶対に採ってはいけない“特定水産動植物”
さて、漁業権対象種とは別に、地域に関係なく採ってはいけないものがあります。
それはアワビ、ナマコ、シラスウナギの3種類です。
2018年に漁業法が改正され、漁業権や許可に基づく場合を除いてこれら3種の採集は一切禁止(特定水産動植物の採捕の禁止)になりました。
改正の背景には、組織的な密漁に加えて個人によるレジャー感覚での密漁が増えたことにあります。
違反した場合、3年以下の懲役または3,000万円以下の罰金が科されます。
3,000万円という罰金は、国内法において個人に対する罰金の最高額だそうです。
それだけ密漁は罪深い行為であるという解釈ができますね。
磯遊びをしているとアワビやナマコに出会うこともあるでしょう。それでも採ってはいけません。
また、違法に採られたものの運搬や保管、所持、または処分の媒介やあっせんをしても密漁者と同等の刑が科せられるので注意してください。
まとめ
2023年8月1日、政府広報でも遊漁のルールについて啓発しています。
“採ってはいけない”ものを理解した上で、楽しく磯遊びをしましょう。
また、採集にはレジャー目的のものを使用してください。
(本記事では割愛しますが、遊漁で使用できる漁具、漁法は都道府県によって制限があります)
チャームでは、磯遊びを楽しむためのアイテムも多く取り扱っています。
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