みなさんこんにちは、Tです。アクアリウムで厄介な存在の代表格といえば、水槽に生えてくる「コケ」ですよね。本記事では海水水槽に発生するコケとその対策についてご紹介します。
淡水アクアリウムだけじゃない!海水水槽に生えるコケ
淡水のアクアリウムでは、厄介な存在の代表格として「コケの発生」が挙げられます。しかし、海水水槽でのコケの発生はあまりイメージが湧かないという方もいらっしゃるのではないのでしょうか?
まずは、海水水槽をやっていると生えてきやすいコケの種類から学んでいきましょう。
茶ゴケ(珪藻)
茶ゴケは「ケイ素」を養分として繁茂するコケです。海水水槽をやっている水槽では必ずといって良いほど見かけるコケです。特に水槽を立ち上げた直後などの水槽環境が不安定な時期に発生しやすいとされています。放置しておくとあっという間に水槽を覆いつくして美観を損ねてしまいます。
ガラスに生える緑ゴケ
淡水の水槽でも生えてくるようなガラス面に生えてくる緑色のコケです。水槽環境が安定しはじめた時に出てくる傾向があり、放置していると美観を損ねてしまいます。
赤ゴケ(シアノバクテリア)
まさに淡水に現れる藍藻の海水バージョンといえるでしょう。淡水の藍藻と同じく、コケというよりバクテリアの仲間に近いです。硝酸塩が蓄積した汚れた水や底床の上や厚く敷いた底床の中などの通水性の悪い場所に発生しやすく、放置しているとあっという間に水槽内を覆いつくしてしまいます。シアノバクテリアはサンゴに付着することもあり、放置するとサンゴが光合成を行えなくなって死んでしまう場合もあります。
シオミドロ
世界中の温帯・寒冷沿岸に生息する藻類で日本にも自生しています。淡水でいうとアオミドロに近い存在です。
コケをなくしたい!苔の種類別の発生原因と対処法
これらのコケが発生してしまう原因はなんなのでしょうか?
茶ゴケ(珪藻)
茶ゴケはケイ素を養分として発生します。実はこのケイ素は水道水に多く含まれており、対策としてはケイ素の供給を止めるのが一番の方法といえます。
浄水器・純水(RO水)を使用する
茶ゴケの栄養分であるケイ素は水道水に多く含まれており、掃除で落としても水換えのタイミングで再度発生してしまうというサイクルに陥ってしまいがちです。そんな時は、水を変えてしまいましょう。特によいのはアクアリウム用の浄水器を使用すること。アクアリウム用の浄水器は水の中の不純物を限りなく取り除き、純水に近い水を供給してくれます。また、一部の地域ではスーパーなどで純水がくめるサービスがあったりするのでそちらを利用するのも一つの手段です。
茶ゴケを食べる生き物を導入する
水槽内に茶ゴケを食べてくれる生き物を導入するのもよいでしょう。ポピュラーな種ではマガキガイ・シッタカガイ・コイソガイなどの貝類やヤエヤマギンポなどの魚が茶ゴケを食べてくれます。
それぞれ得意な条件が違うので、茶ゴケが出やすい水槽立ち上げ初期にはこれら全ての生き物を導入しておくことをおすすめします。
ガラスに生える緑ゴケ
緑のコケがガラス面に出てしまうのは、主にライトの光量が強すぎる・点灯時間が長すぎることです。まずはライトの光量・点灯時間を調整してみましょう。
スクレーパーを使って落とす
水槽の面についてしまったコケはスクレーパーで落とせます。力をかけすぎてしまうとガラス面を傷つけてしまうので優しく作業します。また、スクレーパーはプラスチック製のものを使うとより水槽面に優しいです。
どうしても手を濡らしたくないという方はマグネットのクリーナーもオススメです。水槽の外からでもガラス面をきれいに掃除できます。
緑ゴケを食べてくれる生き物
サザエの仲間やアワビなどの貝類は水槽内の緑ゴケを食べてくれるます。緑ゴケを除去したい時はこれらの種を活用してみるのもよいでしょう。
赤ゴケ(シアノバクテリア)
赤ゴケと呼ばれるこちらのコケ。正確には藻類ではなく細菌(シアノバクテリア)の一種です。淡水にも「藍藻(らんそう)」というコケが出てきますが、まさに藍藻の海水バージョンがこの赤ゴケです。増殖速度がとても速く、放置すると底床やサンゴをあっという間に覆ってしまいます。見つけ次第早めの対処が必要です。
水換え・底床掃除を怠らない
藍藻を出さない一番の対策は水槽内をきれいにしておくことです。そのためには定期的な水換えや底床掃除は必須の作業。掃除を怠ってしまうと水質の悪化して藍藻が出やすい環境を作ってしまいます。
ブラシなどで擦って落とす
水槽から取り出せるようなアクアリウム用アクセサリーなどに藍藻がついてしまったら、ブラシなどで擦るのもよいでしょう。この時、完全に除去できたかどうか確認する事も忘れずに。少しでも藍藻の破片が水槽内に残っていると、その破片から再度増殖していきます。アミなどを水槽内に何度かくぐらせて除去しておきましょう。増殖すると厄介な藍藻ですが、物理攻撃には弱く少し擦っただけですぐに取れていきます。
専用の除去剤を使用する
各メーカーから赤ゴケ(藍藻)除去剤がリリースされています。こちらを活用して、一気に除去してしまうのもひとつの手です。ただし、水質の変化に敏感なソフトコーラルなどは調子を崩してしまったり、最悪の場合死んでしまうこともあるので注意して使用しましょう。
赤ゴケ(シアノバクテリア)を食べてくれる生き物
大抵のコケはそれを食べて駆除してくれる生き物がいるものです。ところが、このシアノバクテリアは毒性があるためほとんどの生き物は喜んで食べてくれません。ただし、タツナミガイというウミウシは違います。タツナミガイの主な食糧は微小生物やプランクトンであり、シアノバクテリアも例外ではないようです。ただし、もちろん個体差がありますので過信しないよう気をつけましょう。
シオミドロ
水槽セット初期など水槽内の微生物(コペポーダなどの動物プランクトン)が少ない時期に出やすいコケです。新しいライブロック・サンゴの土台などに付着して侵入してくることが多いです。
水質をきれいに保つ
シオミドロも他のコケと同じく何らかの原因で、水中の硝酸塩とリン酸塩の濃度が高まると発生しやすくなります。硝酸塩やリン酸塩濃度が上がっている状態は水質が悪化している状態です。そうなる前にこまめな水換えを行うことをおすすめします。
ブラシなどで擦って落とす
シオミドロが発生してしまったら、シオミドロが生えているライブロックなどを取り出してブラシで擦り取りましょう。使うブラシは、使い終わった歯ブラシや安価なブラシで構いません。
動物性プランクトン(コペポーダ、ヨコエビなど)を投入する
動物性プランクトンは植物プランクトンを食べます。ヨコエビやコペポーダなどの動物性プランクトンが水中に増えると単純な構造をしたコケは発生しにくくなります。特にヨコエビは雑食で何でも食べ、糸状のコケの発生も抑えてくれます。
※コケの発生が皆無になるわけではありません。
照明の点灯時間が長い場合は1日6時間程度にとどめる
一般的なサンゴ水槽の場合、ライトの点灯時間は1日8時間程度。それより多いと点灯時間が長すぎるといえるでしょう。ライトの点灯時間の長さが原因でコケが発生していることが分かったら、1日のライトの点灯時間を6時間程度に抑えてみてください。もちろん、点灯時間の管理はタイマーを活用することをおすすめします。
本格的にコケを除去したい場合は、エサを与えながら2~3日ほど光を遮って真っ暗にするという方法もあります。
シオミドロを食べてくれる生き物
シオミドロには主にアシナガモエビやエメラルドグリークラブなどの甲殻類が最適です。
コケのお掃除をしてくれる生き物をもう少しご紹介!
これまではさまざまな種類のコケがあることやそれぞれのコケに効果的な除去方法・生き物を紹介しました。この項目では「一般的なコケならだいたい何でも食べてくれる」オールラウンダーな生き物たちをご紹介します。
フシウデサンゴモエビ
フシウデサンゴモエビはサロンシュリンプと呼ばれるサンゴモエビの仲間では最も流通量の多い種類です。残り餌や糸状藻類を食べてくれるので掃除屋として最適な種類です。オスは成長すると第3顎脚が長く伸びる特徴を持っています。ライブロックなどについたコケを積極的に食べてくれます。体が小さいのでコケがひどい場合には多めに導入する事をおすすめします。また、フシウデサンゴモエビは肉食魚や大型魚には捕食されてしまう可能性が高いので、小型魚をメインとする水槽への導入がよいです。
ヤドカリの仲間
ヤドカリの仲間は、フシウデサンゴモエビと同様にライブロックなどについたコケを積極的にたべてくれます。見た目がかわいらしい上に、多く導入すれば効率的にコケを除去してくれます。ただし、サンゴの上に乗ってしまう事もあるのでサンゴの少ない水槽に導入するのが無難でしょう。
クロナマコ
クロナマコは熱帯の岩礁域に暮らすナマコの一種です。見た目は一風変わっていますが、砂中の残餌を砂ごと体内に取り込んできれいにしてくれます。底床の茶ゴケや藍藻の発生予防に効果的です。目の細かい底床を敷いた水槽やナチュラルシステムの掃除役としておすすめです。基本的に通常の飼育で状態を崩すことはほぼないほど非常に丈夫です。軽いレイアウトアクセサリーは動かしてしまう事があるのでレイアウトは簡単に動かないような工夫を施しておくとよいでしょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
海水水槽のコケ対策、いかがでしたでしょうか?海水という環境であっても、コケの発生原因は実は淡水とそこまで変わらなかったりします。
コケは厄介な存在ではありますが、水槽環境のバロメータになってくれます。何が原因でコケが発生しているのかを確かめ、しっかりと対策を行っていきましょう!
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